2010年1月アーカイブ

お金コンサルタントのはいはいQさんで知られる邱永漢氏が半世紀前に中央公論に連載した「西遊記」で、20年後1977年に文庫本化されました。

文庫版の前書きで、「連載中には学者先生から、『折角原典を読み下せるのに原典からの逸脱が多くて残念である』との批評を頂いたが、原典の「西遊記」は退屈な物語であり、原典に忠実な訳では娯楽誌へ連載できない。学者先生も原典を読んでいないらしい」といった趣旨を述べている。
原典に忠実な訳では退屈で読むのが苦痛であるかどうかは、原典版をこれから読んでみたいと思っている私には判断できないが、邱永漢版の「西遊記」はグングン読めた。

三蔵法師、孫悟空、猪八戒、沙悟浄のそれぞれの性格は、我々のよく知っている通りであり、中野著「西遊記ワンダーランド」にもある通りに、表面的な性格のみならず錬金術や風水なども総動員した原典による性格付けそのものであろう。しかし、そこはお金の邱さんであり、登場人物・妖怪も経済通であったり商人であったりという色づけがされている。
三蔵におべっかを使い、孫悟空と衝突する猪八戒は、損得で動き、或るときは経済論を展開する。また官僚に化けた妖怪に乗っ取られた国では観光収入が増えたり、天竺国への仏典訴求の旅は、旅行コーディネータの釈迦による天竺国ツアーの宣伝であるという。
また、挿絵が影絵であるにも関わらず、生き生きとしており、一点一点が楽しめる。

全八巻。

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